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楕円ピストンとは、ピストンの形状が常識的な真円ではなく、楕円(運動場のトラックのような長円)形をしたもの。
ホンダのバイク・NRに搭載された特殊なV型4気筒エンジンの基幹技術といえるもので、1気筒あたり二本のコンロッドとスパークプラグ、吸気4・排気4の計8バルブを有する。
そもそもはホンダが1979年のロードレース世界選手権(WGP・MotoGP)に復帰する際、当時全盛だった2ストロークエンジンに4ストロークエンジンで対抗すべく開発されたもの。
原理的に2ストロークエンジンより非力な4ストロークエンジンは、高回転化で馬力を稼ぐのが常套手段であったが、レギュレーション上限の4気筒では高回転化にも限界があった。そこで、V8エンジンの隣接するピストン(シリンダー)をくっつけてしまうという発想で4気筒ながら8気筒並の高回転・高出力化(500ccから最終的に128ps/19,000rpm)を実現した。
しかしながらメカトラブルが頻発するなどレースで成功を残すこができず、このエンジンは4年で戦線を離脱。2007年にはレギュレーションにより使用が禁止されることとなった。
一方、1992年にはこの楕円ピストンエンジンを搭載したNR750が、ホンダ二輪のフラッグシップとして300台限定で販売された。しかしこちらも520万円という法外なプライスとバブル崩壊の直撃をうけ販売的にも成功を残すことが出来なかった。
ある意味悲運なマシンであったが、エンジン・車体とも非常に評価は高く、希少性やその成り立ちも含めて既に伝説的な存在となっている。
関連 V型エンジン、4気筒、コンロッド、スパークプラグ、バルブ、2ストローク、4ストローク、レギュレーション
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